「原則」は知っている。では、実際の現場では何が起きているのか
ランディングページ(LP)のコンバージョン率(CVR)を高めるための基本原則については、姉妹記事「そのLP、本当に効いてる?コンバージョン率を高めるデザイン改善術」(本サイト内の別記事)で詳しく解説しています。
ターゲット理解、ファーストビュー、CTA設計、信頼性の構築、ストーリーテリング、フォーム最適化、レスポンシブ対応……原則としては理解できても、実際に自社のLPに当てはめようとすると、「うちの業種の場合、具体的にどこをどう直せばいいのか」という壁にぶつかる方が少なくありません。
原則は、いわば地図のようなものです。しかし、地図を手にしていても、目の前の道が工事中だったり、思わぬ一方通行だったりすれば、実際に歩く道筋は現場ごとに調整が必要になります。LPの改善もまったく同じで、業種ごとに読者の心理状態や検討プロセスが異なる以上、原則をそのまま当てはめるだけでは十分な成果につながらないことが少なくありません。
そこで本記事では、あえて原則論を離れ、士業(税理士・法律事務所・社会保険労務士)、EC(通販事業者)、BtoB企業という3つの業種それぞれについて、実際の改善のビフォー・アフターを、具体的な事例として紹介していきます。単に「何を変えたか」だけでなく、「なぜそう判断したのか」という診断のプロセスまで含めてお伝えすることで、自社のLPに応用しやすい形にまとめました。
自社の業種に近いケースがあれば、そのまま改善のヒントとしてお役立てください。
第1章:士業のLP改善事例 — 「専門性」が壁になっていたケース
ケース1:税理士事務所の相続税相談LP
創業20年、地域では堅実な仕事ぶりで知られる税理士事務所のLPでした。
改善前のLPは、「相続税申告、相続対策、事業承継、税務調査対応」といった、事務所が対応できる業務を漏れなく列挙する構成になっていました。税理士としての専門性を余すところなく伝えたいという思いは理解できますが、初めて相続に直面した一般の方にとって、この専門用語の羅列はむしろ「自分には難しそうだ」という心理的な壁として機能してしまっていました。
CVR(無料相談申し込み率)は0.6%と低迷しており、アクセスはあるのに問い合わせに結びつかない状態が続いていました。
まず着手したのは、実際にこのLPに流入しているユーザーが、どのような検索キーワードでたどり着いているのかの確認です。検索クエリの多くは「親 死亡 相続税 いくら」「相続 何から」といった、極めて具体的で切実な言葉でした。ところが、LPのファーストビューに書かれていたのは「相続税申告業務」という、事務所側の業務カテゴリを示す言葉です。読者が検索窓に打ち込んだ言葉と、LPが最初に語りかける言葉との間に、大きなギャップが存在していたのです。
改善にあたって行ったのは、ファーストビューのメッセージを「業務内容の説明」から「読者の悩みへの語りかけ」へと転換することでした。「親の相続、何から手をつければいいか分からない」という、検索してくる読者がまさに検索窓に打ち込んでいるであろう言葉をそのままキャッチコピーに採用し、専門用語は本文の後半、信頼性を補強するセクションに移動させました。
あわせて、「初回相談は完全無料・平日夜間や土曜日も対応可」という、読者が抱く「相談のハードルの高さ」への不安を先回りして解消する一文をファーストビュー直下に追加しました。相続の相談というのは、平日の日中に休みを取ってまで行うものだろうかと躊躇する読者が一定数存在するため、対応時間の柔軟さを示すことは想像以上に大きな安心材料になります。
この改善の結果、CVRは0.6%から1.9%へと改善しました。専門性を隠したのではなく、専門性を伝える「順番」を変えただけで、読者の受け取り方が大きく変化した事例です。
ケース2:法律事務所の交通事故相談LP
交通事故の被害者向け相談を主力とする法律事務所のLPは、弁護士のプロフィールと解決実績の数字を前面に押し出した、いわゆる「権威型」の構成でした。
しかし、実際にLPを訪れるユーザーの多くは、事故直後で心身ともに疲弊し、「今、何をすればいいのか」という直近の行動指針を求めている状態にあります。そこに実績や資格の一覧を見せられても、今の自分の状況とどう結びつくのかが分からず、離脱してしまうケースが目立っていました。
アクセス解析を確認すると、直帰までの滞在時間が平均18秒と極端に短く、ページの上部に配置された弁護士のプロフィール写真あたりで多くのユーザーが離脱していることが分かりました。
改善では、ファーストビューの直後に「事故後、最初の72時間にやるべきこと」というチェックリスト形式のコンテンツを配置しました。これは直接的な営業要素を含まない、純粋に読者の役に立つ情報です。
「加害者側の保険会社から連絡が来たら、まず何を確認すべきか」「病院の診断書はいつまでに、どの範囲まで取得すべきか」といった、まさに今この瞬間に必要な行動指針を並べることで、読者は「このページは自分の状況を理解してくれている」と感じ始めます。このチェックリストを読み進める中で「保険会社とのやり取りは自分では対応が難しい」という気づきが自然に生まれ、その流れの中で相談窓口への案内を提示する構成に変更しました。
先に価値を提供し、読者自身に必要性を発見してもらう。この順序の転換により、問い合わせ数は改善前と比較して約2.3倍に増加しました。
ケース3:社会保険労務士事務所の助成金相談LP
中小企業向けに雇用関連の助成金申請サポートを行う社会保険労務士事務所のLPは、対応可能な助成金の種類を10種類以上びっしりと並べた、いわば「カタログ型」の構成でした。
経営者や総務担当者が実際にこのページを訪れる動機は、「自社が使える助成金があるかどうかを、とにかく早く知りたい」という一点に尽きます。ところが、10種類以上の制度名を読み比べて、自社に該当するものを判断するという作業を読者自身に強いてしまっていたのです。
改善では、制度名の一覧を見せる前に、「従業員を新しく採用した」「育児休業の取得者がいる」といった、経営者が置かれている状況別に該当しそうな助成金を自動的に絞り込む簡易診断フォームを冒頭に設置しました。3つの質問に答えるだけで、該当する可能性のある助成金が表示される仕組みです。
制度の詳細を理解する前に、まず「自分に関係があるかどうか」が分かる。この一手間を先回りして提供したことで、診断フォームの完了率は78%に達し、そこから相談申し込みへ進む読者の割合も大きく向上、最終的なCVRは0.9%から2.6%まで改善しました。
第2章:ECサイトのLP改善事例 — 「情報の渋滞」を解消したケース
ケース4:健康食品の単品通販LP
サプリメントを扱う通販会社のLPは、成分の効能、モニターの体験談、価格プラン、よくある質問など、あらゆる訴求要素を1ページにすべて盛り込んだ、いわゆる「縦に長い」構成でした。
情報量自体は競合他社にも引けを取らないものでしたが、スマートフォンでの直帰率が72%と高く、最後まで読まれる前に離脱するユーザーが大半を占めていました。ヒートマップ分析の結果、成分説明のセクションでスクロール速度が急激に上がっていることが判明しました。つまり、読者はこのセクションを「読んでいる」のではなく、「読み飛ばして次を探している」状態だったのです。
分析の結果分かったのは、成分説明が専門的すぎて、効能を理解する前に読者が疲れてしまっているという点でした。「〇〇由来の△△成分を独自配合」といった表現は、企業側にとっては差別化のポイントですが、読者にとっては「結局、自分にどんな良いことがあるのか」が伝わりにくい表現だったのです。
改善では、成分説明のセクションを大幅に圧縮し、代わりに「飲み始めて何日目に、どんな変化を感じたか」という時系列のBefore/After形式の体験談を中心に据える構成へと変更しました。あわせて、ページの各セクションの冒頭に、その先を読むかどうかを判断できる短い見出しを追加し、読者が自分の関心のある部分だけを拾い読みできるようにしました。
この改善により、スマートフォンでの直帰率は72%から54%まで低下し、CVRは1.1%から2.4%に向上しました。情報量を減らしたのではなく、「読む順序」と「拾い読みのしやすさ」を設計し直したことが功を奏した事例です。
ケース5:アパレルブランドの新作コレクションLP
あるアパレルブランドの新作コレクション紹介LPは、写真のクオリティは高いものの、カート追加までの導線が分かりにくく、せっかく気に入った商品があっても購入に至らないという課題を抱えていました。
具体的には、商品写真をひとしきり眺めた後、購入するにはページ最下部の「商品一覧はこちら」というリンクから改めて別ページに移動する必要がありました。写真を見て気に入った瞬間の感情の高まりが、ページ遷移という一手間によって冷めてしまい、その間に「やっぱりまた今度でいいか」という先延ばしの心理が働いてしまっていたのです。
改善では、各商品写真の下に、その場でサイズと色を選択できる簡易的な選択UIと「カートに入れる」ボタンを直接配置しました。「気に入った瞬間に、その場で完結できる」という導線の短縮が、購入意欲が最も高まっている瞬間を逃さないための鍵でした。
この改善により、LPからのカート追加率は1.8倍に向上しました。
ケース6:家具・インテリア通販サイトのLP
一点数万円からの中価格帯家具を扱う通販サイトのLPは、商品スペックとサイズ表を丁寧に掲載した、機能重視の構成でした。
しかし、家具のような「部屋に置いてみないと分からない」商品においては、サイズや素材の情報だけでは購入の決め手にならず、カゴ落ち率(カートに入れたのに購入されない割合)が68%と非常に高い状態が続いていました。
ユーザーインタビューを行ったところ、「部屋に置いたときにイメージと違ったら困る」という不安が、購入をためらう最大の理由であることが分かりました。
改善では、商品ページに実際の購入者が自室に設置した写真を投稿できる仕組みと、それらの写真を部屋の広さ別・テイスト別に絞り込んで閲覧できる機能を追加しました。カタログ写真の完璧な部屋ではなく、他の生活者のリアルな部屋の写真を見せることで、「自分の部屋でも合いそうだ」という具体的なイメージを持ってもらう狙いです。
この改善により、カゴ落ち率は68%から51%まで改善し、最終的な購入完了数は約1.4倍に増加しました。
第3章:BtoB企業のLP改善事例 — 「検討の長さ」に寄り添ったケース
ケース7:クラウド会計ソフトの資料請求LP
BtoB向けクラウドサービスのLPでは、多くの場合「無料デモを申し込む」という単一のCTAしか用意されていません。
しかし、BtoBの購買行動は個人の消費行動よりも検討期間が長く、担当者一人の判断で即決できないケースがほとんどです。このクラウド会計ソフトのLPも同様で、「まだ社内で検討段階だが、情報は集めておきたい」という層を取りこぼしている状態でした。
営業担当へのヒアリングでは、「デモの日程調整が面倒で申し込みを見送った」という見込み客の声が複数寄せられていました。デモという行為自体が、読者にとっては思っていた以上に重い意思決定だったのです。
改善では、CTAを「今すぐ無料デモを申し込む」の一択から、「資料をダウンロードする(社内検討用)」という、購買検討の初期段階にいる読者向けの低ハードルな選択肢を併設する形に変更しました。これにより、まだ即決できない担当者もリードとして獲得できるようになり、資料ダウンロードとデモ申し込みを合算した総コンバージョン数は、改善前と比較して約1.7倍に増加しました。
ケース8:製造業向け業務システムの導入相談LP
工場の生産管理システムを提供する企業のLPは、機能一覧と導入企業のロゴを並べた、典型的なBtoB企業サイトの構成でした。
しかし、実際に問い合わせをしてくる担当者の多くが、システムそのものよりも「導入にどれくらいの期間とコストがかかるのか」「既存の業務フローがどう変わるのか」という、導入後の実務的な変化への不安を抱えていることが、ヒアリングを通じて分かりました。機能の豊富さは、担当者にとっては「移行の手間の多さ」という不安要素にすら映っていたのです。
改善では、機能一覧の前に「導入前の課題→導入プロセス→導入後の変化」を時系列で示す、実際の導入企業1社分のケーススタディを配置しました。抽象的な機能説明より先に、具体的な1社の物語を見せることで、読者は自社の状況と重ね合わせやすくなります。
この改善により、問い合わせフォームからの送信数は改善前の約2.1倍となりました。
ケース9:人事評価SaaSの無料トライアルLP
中小企業向けの人事評価クラウドサービスのLPは、機能の網羅性を強調するあまり、「多機能であること」自体を最大の訴求点にしていました。
しかし、実際の見込み客の多くは、大企業のような複雑な人事制度を求めているわけではなく、むしろ「今使っているExcelでの評価管理から、最低限どれだけ楽になるか」を知りたいという、控えめな期待でLPを訪れていました。多機能であることが、かえって「自社には使いこなせないのではないか」という懸念につながっていたのです。
改善では、機能の網羅性をアピールする代わりに、「Excel管理からの移行に、実際にかかった時間はわずか2時間」という、乗り換えの手軽さを前面に出す構成に変更しました。
この改善により、無料トライアルの申し込み数は改善前と比較して約1.6倍に増加しました。
ケース10:司法書士事務所の不動産登記相談LP
相続や売買にともなう不動産登記を専門とする司法書士事務所のLPは、登記の種類(相続登記・所有権移転登記・抵当権抹消登記など)を専門用語のまま並べた、いわば「手続き名優先」の構成でした。
しかし、実際に読者がこのページにたどり着く経緯を確認すると、「不動産を売ることになったが、何をすればいいか分からない」「親の家を相続したが、名義変更の期限があると聞いて焦っている」といった、手続き名すら分かっていない状態で検索している読者が大多数でした。
改善では、登記の種類ごとの説明の前に、「今、あなたが置かれている状況」を選択肢形式で提示し、該当する状況をクリックすると必要な手続きが自動的に表示されるという構成に変更しました。専門用語を先に理解させるのではなく、状況から入り口を作ることで、読者は迷わず自分に必要な情報にたどり着けるようになりました。
この改善により、問い合わせ数は改善前と比較して約1.9倍に増加しました。
第2章(続):ECサイトのLP改善事例
ケース11:ペット用品通販サイトのLP
犬猫用の療法食を扱う通販サイトのLPは、原材料や栄養成分の分析値を詳細に開示した、いわば「成分表重視」の構成でした。
しかし、療法食を検討する飼い主の多くは、成分表を読み解く専門知識を持っているわけではなく、「うちの子の症状が、これを与えることで本当に良くなるのか」という、極めて感情的で切実な不安を抱えてページを訪れています。
改善では、成分表を後方に配置し、代わりに「同じような症状を抱えていた犬猫が、切り替え後どのように変化したか」という飼い主自身の投稿による体験談集を前面に配置しました。専門的な裏付けは、感情的な納得の後に補強材料として提示する構成です。
この改善により、初回購入の完了率は改善前と比較して約1.5倍に向上しました。
第3章(続):BtoB企業のLP改善事例
ケース12:広告代理店向け入稿管理ツールのLP
広告代理店の運用担当者向けに、複数の広告媒体への入稿作業を一元管理できるツールのLPは、対応している広告媒体のロゴを何十個も並べた「網羅性アピール型」の構成でした。
しかし、ヒアリングを行うと、担当者が本当に知りたいのは「対応媒体の数」ではなく、「自分が日常的に使っている媒体の組み合わせに、このツールがきちんと対応しているか」という、極めて個別的な確認事項であることが分かりました。網羅性を誇示する構成は、かえって「自分の使いたい組み合わせが本当にサポートされているか分かりにくい」という不満を生んでいたのです。
改善では、ロゴの羅列の代わりに、「よく使われる媒体の組み合わせパターン」を3〜4パターンに整理し、自分の運用スタイルに近いパターンを選ぶと、そのパターンでの具体的な作業時間削減効果が表示される診断コンテンツを導入しました。
この改善により、資料請求数は改善前と比較して約1.8倍に増加しました。
自社のLPを診断するための5つの問い
12のケースを紹介してきましたが、自社のLPにいきなり同じ施策を当てはめる前に、まずは自社のLPを診断してみることをお勧めします。以下の5つの問いに、明確に答えられるかどうかを確認してみてください。
- 読者がこのLPにたどり着く直前、検索窓にはどんな言葉を打ち込んでいたか、具体的に説明できるか
- ファーストビューの言葉は、その検索キーワードとどれだけ近い言葉で書かれているか
- 読者がまだ検討の初期段階にいる場合、即決を求める以外の選択肢を用意できているか
- 自社のスペックや実績を語る前に、読者自身の状況や悩みに触れる一文があるか
- 直近1ヶ月のアクセス解析やヒートマップを確認し、どこで離脱が多いかを把握しているか
もし、いずれかの問いに明確に答えられないとすれば、それこそが自社のLPを改善する最初の着手点です。今回紹介した士業・EC・BtoBの12のケースは、業種こそ違えど、いずれもこの5つの問いへの答えを丁寧に見直すところから改善が始まっています。
12のケースに共通する改善の本質
士業、EC、BtoBと業種はまったく異なりますが、12のケースに共通する改善の本質は、大きく5つに整理できます。
- 読者が置かれている「今の状況」から始まる構成にすること(専門用語や機能一覧を先に見せない)
- 読者の検討段階に応じた選択肢を用意すること(即決を迫るだけでなく、情報収集段階の読者も受け止める)
- 抽象的な説明の前に、具体的な1つの物語や体験談を提示すること
- 読者が抱いている「不安」を先回りして言語化し、解消すること
- アクセス解析やヒートマップ、ユーザーインタビューで「どこで離脱しているか」「何が不安なのか」を必ず確認してから改善に着手すること
一つ目の「今の状況から始まる構成」は、税理士事務所や司法書士事務所の事例に象徴的に表れています。事務所側が提供できるサービスのラインナップから説明を始めるのではなく、読者が今まさに置かれている状況(親を亡くした、不動産を相続した、など)から言葉を紡ぎ始めることで、専門用語という壁を乗り越える前に、読者の心を掴むことができます。
二つ目の「検討段階に応じた選択肢」は、BtoB企業の事例に顕著でした。個人の消費行動と違い、BtoBの購買には社内稟議や複数人での検討というプロセスが介在します。「今すぐ契約」という単一のゴールだけを用意するのではなく、情報収集段階の担当者にも手を差し伸べる設計が、機会損失を防ぎます。
三つ目の「具体的な物語」は、EC事例において特に効果を発揮しました。成分表やスペックといった客観的な情報は、読者が興味を持った「後」に補強材料として提示することで初めて説得力を持ちます。順序を間違えると、同じ情報でも逆効果になり得るという点は、多くの企業が見落としがちなポイントです。
四つ目の「不安の先回り」は、法律事務所や社会保険労務士事務所のケースに見られるように、読者が言葉にできていない懸念を先に言語化してあげることで、読者自身が「自分のことを分かってくれている」という信頼感を抱くきっかけになります。
そして五つ目の「データに基づく診断」は、今回のすべてのケースに共通する土台です。感覚や思い込みで改善案を決めるのではなく、実際のユーザー行動という事実に基づいて仮説を立てることが、成果につながる改善の共通点でした。
改善は一度で終わらない:効果測定と検証の重要性
ここで紹介した数値は、いずれも改善後にある程度の期間(おおよそ1〜2ヶ月)データを蓄積した上での結果です。LPの改善は、施策を実施して終わりではなく、そこから得られる新しいデータをもとに、さらに次の改善点を探っていく継続的なプロセスです。
例えば、ケース1の税理士事務所では、ファーストビュー改善後も「相談は無料と分かっていても、その場で電話をかけるのは緊張する」という読者心理があることが、その後のアクセス解析で見えてきました。そこで追加で、電話以外にフォームからの気軽な問い合わせ導線を用意したところ、さらにCVRが上乗せされる結果となりました。
また、改善の効果を正しく評価するためには、施策実施の前後で単純に数字を比較するだけでなく、季節要因や広告出稿量の変化といった外的要因も考慮する必要があります。可能であれば、同じ期間に新旧2パターンのLPを並行して表示し、実際にどちらがより高い成果を生むかを比較するA/Bテストの手法を取り入れることで、より確度の高い判断ができます。
一つの改善で満足せず、常に「次に読者が感じているであろう小さな抵抗感は何か」を探り続ける姿勢が、LPを育てていく上で欠かせません。改善とは、一度の作業で完成させるものではなく、読者との対話を重ねながら少しずつ磨き上げていく、終わりのないプロセスなのです。
まとめ:原則を、自社の読者の言葉に翻訳する
原則を理解した上で、次に必要なのは「自社の読者は、今どんな状況で、何を求めてこのページに来ているのか」を具体的に想像することです。
抽象論だけでは自社のLPの何を直せばいいのか掴みにくいものですが、業種の近いケースを一つ選び、そこで使われた考え方を自社のLPに当てはめてみることから、改善は始められます。士業であれば読者の専門用語への抵抗感、ECであれば情報の渋滞、BtoBであれば検討期間の長さ。それぞれの業種特有の「壁」を見極めることが、原則を実践に落とし込むための第一歩です。
今回紹介した12のケースは、いずれも特別な予算や大掛かりなリニューアルを必要としたものではありません。ファーストビューの一文を変える、コンテンツの順序を入れ替える、選択肢を一つ追加する。そうした小さな改善の積み重ねが、読者の心理的な壁を一枚ずつ取り払い、結果としてコンバージョン率という数字に表れてくるのです。
原則に立ち返って全体を体系的に見直したい場合は、姉妹記事もあわせてご参照ください。
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